映画「つつんでひらいて」を見ました。
本好き、紙好きにはたまらない映画でした。
菊地さんが、紙にこだわり、文字にこだわって、
その本の本質的なものを、見える形に作り上げていく作業は、
発想から製本に至る創造の現場に
立ち会わせてもらっているようで、わくわくしました。

今は、装幀もコンピューター上で作る人がほとんどだと思いますが、
菊地さんはすべて手作業で行っています。
活字見本で選んだ文字をコピーし、切り貼りし、
本の見本を作っていく。
鉛筆、定規、ハサミ、糊、手が動く動く。
変わっていく時代の流れの中で、
ずっと変わらない手を使うものづくりの行程。
こうでなくっちゃ。
コンピューターでは手触りや温かさは伝わりません。
私も以前、「つめくさの信号」という詩誌の
編集にかかわっていたことがあって、
菊地さんと同じように、文字をコピーし、
切り貼りして、印刷屋さんに渡す版下を
作っていたことがあります。
その作業を懐かしく思い出しました。
印刷、製本の現場にいる人たちも、
知恵を出し合い、本が出来上がっていく。
菊地さんをはじめ、本を作る人たちの
本への愛情が伝わってきて、心から嬉しく、
見終わった後、すがすがしい幸せな気持ちになりました。
映画の中で、先日講演を聞いたばかりの若松英輔さんの
「イエス伝」が出てきたのも驚きでしたし、
画面からあふれる菊地さんの人間性が、
とっても素敵でした。
「デザインは設計ではなく『こさえること』」
「他者があってのデザイン」
「他者がないと人は存在しない」など
心に深く刻まれる言葉も印象的でした。
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