2020年02月25日

降りつむ

降りつむ    永瀬清子

かなしみの国に雪が降りつむ
かなしみを糧として生きよと雪が降りつむ
失いつくしたものの上に雪が降りつむ
その山河の上に
そのうすきシャツの上に
そのみなし子のみだれたる頭髪の上に
四方の潮騒いよよ高く雪が降りつむ
夜も昼もなく
長いかなしみの音楽のごとく
なきさけびの心を鎮めよと雪が降りつむ
ひよどりや狐の巣にこもるごとく
かなしみにこもれと
地に強い草の葉の冬を越すごとく
冬をこせよと
その下からやがてよき春の立ちあがれと雪が降りつむ
無限にふかい空からしずかにしずかに
非情のやさしさをもって雪が降りつむ
かなしみの国に雪が降りつむ。



1947〜1948年ごろ、書かれた詩です。
すごいなあ。
永瀬さんの詩を読むと、
いつも勇気づけられます。
私の生きている少し前を
永瀬さんのような女性が生きてこられたことに。

先日、ある人と永瀬さんの話をしていたら、
その方が、
永瀬さんの家の蔵を解体したときに出た
床板を持っていると言われたので、
思わず「1枚ください。」と言ったら、
すぐに持ってきて下さった。
その方は、その板で、まな板を作ろうと思っているらしい。
私は、当分、このままで、
この上を永瀬さんが歩いたのだと、眺めているつもりです。
2.jpg

岡山に転勤が決まった25年前、
岡山に行ったら永瀬さんがいる、と
お会いできるのを楽しみにしていたのですが、
来て早々、亡くなられたのでした。
実際にお会いできなかったのは、とても残念ですが、
詩を読むことで、いつでも会えますね。


posted by kaze at 21:11| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする