2016年06月27日

中也の拾ったボタン

中原中也の「月夜の浜辺」の詩を紹介したら、
以前、「風」に、お気に入りのボタンの缶を
持ってこられたWさんから、メールが届きました。
高校生の時ご主人から贈られたのが中也の詩集だったそうで、
中也が大好きだそうです。

それで、ご夫婦で、ボタンの話になったそうです。
ご主人は、「月夜で拾ったのは、貝のボタンに決まっている。」と。
それを聞かれて、Wさんは、
「自然の貝がらが、たくさんあるなかで、
加工した貝のボタンは、物思いにふけるひとだからこそ、
見えるのでしょうか。」と書かれています。
なるほど。確かに、中也だからこそ見えたのかもしれません。
私の方が現実的でした。
言われてみれば、そういう気もしてきます。
私が書いたように、金属製のボタンだとしたら、
Wさんは、
「制服につけるような金属のボタンだとしたら、
大きくなれなかった、わが子の姿をボタンを通して、
見つめようとして、拾い上げたようにも思います。」と。
どんなボタンだったかはわかりませんし、
詩はその人が好きなように感じればいいので、
正解はありません。
「考えても考えてもわからないけれど、久しぶりに
中也の詩にふれて、とてもうれしいです。」
私にも嬉しいメールでした。
Wさんもご夫婦で、月夜の浜辺を歩いていたのですね。

グラデーションの美しいムーングロウのボタン。
ムーングロウ.jpg

子ども用のキディボタン。
動物のイラストとペイントがかわいいです。
キディボタン.jpg

posted by kaze at 20:34| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月26日

リボン刺繍を楽しむ会

今日は、「リボン 刺繍を楽しむ会」がありました。
講師は、「風」にもよく来てくださる an-house さん。
とても感じのいい方で、いらっしゃるときに、
いつも素敵なリボン刺繍のバッグをお持ちで、
うっとりとながめていました。
いつかワークショップを、と思っていたのが
実現して、嬉しいです。
いろいろなイベントなどでも大活躍の方です。
001.JPG

若い頃に少し経験された方もいらっしゃいましたが、
ほとんどは、リボン刺繍は初めての方でした。
私も初めての挑戦です。
最初にバラの花を刺します。
シルクのリボンは光沢がきれいです。
でも、リボンの扱いに慣れないため、
リボンがねじれたり、同じ長さに刺せなかったりで、
なかなか上手くいきません。
最初から上手くいくわけないですよね。
やっているうちに、少しづつ慣れてきて
楽しくなってきました。
夢中でやっていたので、途中の写真を撮るのを
すっかり忘れていました。
刺繍に慣れている方は、完成しましたが、
私は途中になってしまいました。
後はこれから頑張ります。
リボン刺繍.jpg

Yさんお手製レモンシフォンケーキと抹茶寒天を
いただきながら、皆さんでおしゃべり。
とっても美味しい、楽しいひとときでした。
いろいろ準備してくださったan-house さん、
お世話になりました。有難うございました。
それにしても、初めてのことに挑戦するって、
何て楽しいことでしょう♪
名前通り「楽しむ会」でした。

posted by kaze at 21:25| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月25日

月夜の浜辺

ファッション美術館の学芸員の方が、
ボタンがお好きのようで、何度もじっくり見て下さりながら、
「中原中也の詩にボタンが出てきますね。」と言われ,
その詩のコピーを下さいました。


月夜の浜辺    中原中也


月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。

それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
なぜだかそれを捨てるに忍びず
僕はそれを、袂〈(たもと)〉に入れた。

月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。

それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
   月に向つてそれは抛〈(ほう)〉れず
   浪に向つてそれは抛れず
僕はそれを、袂に入れた。

月夜の晩に、拾つたボタンは
指先に沁〈し〉み、心に沁みた。

月夜の晩に、拾つたボタンは
どうしてそれが、捨てられようか?


中也は、この詩を書いた2か月前に、まだ2歳だった子ども文也を
病気で亡くしています。
おそらく子どものことを思いながら浜辺を歩いていたのでしょう。
もう帰って来ることのない、いくら探しても見つからない子ども。
そこにボタンが落ちていた。月明かりに光っていたのでしょうか。
それは、思いを受け止めてくれるかのように、
指先に沁み、心に沁みたのです。
捨てられるわけがありません。

ボタンというのは比喩かもしれませんが、
実際にボタンを拾ったとして、
どんなボタンを拾ったのでしょう。
この詩が発表された1930年代には、
初期のプラスティック、シェル、メタル、木などで
出来たボタンが使われていました。
浜辺なので、シェルはボタンだとわかりにくいし、
月光で目立つのはやはり金属製のボタンかもしれません。

学芸員の方の素敵な一言で、
月夜の浜辺を歩いている私です。

こちらは、ムーングロウガラスボタンです。
透明または半透明のガラスベースに、
表面にクリアガラスを重ねたボタンです。
1954年に、ボヘミア地方(チェコ、西ドイツ)で
作られ売り出されましたが、洗濯機の登場で、
わずか15年で、作られなくなったボタンです。
何て美しいのでしょう!
ムーングロウ1.jpg

ムーングロウ2.jpg

posted by kaze at 21:06| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする